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「日本山海名産図会」再発見帖
寛政十一年(1799年)刊・秋里籬島 撰、西村中和 画。山海の名産と人々の生業を今に伝える。
『日本山海名産図会』は、寛政十一年(1799年)に大坂で刊行された全五巻の図会です。著者は秋里籬島(あきさとりとう)、画工は西村中和(にしむらちゅうわ)。伊丹の酒造りから、山野の産物・海の幸まで、当時の日本各地の名産と人々の生業を詳細な絵とともに記録しています。本サイトでは、その内容を現代語訳とともに巻ごとにご紹介します。
巻一
酒造りの技
兵庫県 伊丹
摂州伊丹の酒(伊丹酒)
江戸時代に『諸白』として一世を風靡した清酒の元祖。壮大な六つの工程を辿ります。
巻二
山野の恵み
香川・兵庫・京都
諸国の銘石・砥石(石品)
「石は山の骨なり」。火に強い豊島石、天下の至宝・御影石、そして命がけで掘り出された砥石の物語。
宮崎・和歌山-奈良
深山の秘宝(霊芝・香茸・石耳)
仙人の食とされた霊芝や、断崖絶壁に宿る石耳。命がけで採取される深山の恵み。
和歌山・広島
蜂蜜(はちみつ)と養蜂
百花の精「蜂蜜」。紀州熊野が第一の産地。江戸時代の養蜂技術と蜂蜜の多彩な用途。
鳥取・三重・兵庫
山椒魚(さんしょううお)
岩を噛み、煙を吐く。不思議な生態を持つ「生ける薬」。
奈良県 吉野
吉野葛(よしのくず)
「寒晒し」が生み出す純白の輝き。吉野の厳しい冬が育む日本一の葛粉。
大和・近江
赤蛙(あかがえる)
冬の土中で眠る「土蛙」を薬に。江戸時代に重宝された知る人ぞ知る養生の珍味。
甲斐・日向・奥羽
鷹(たか)と鷹匠の技
空の覇者、武士の権威の象徴。百済から伝わった鷹狩の起源と、鷹匠が育む驚くべき秘技。
大阪 摂津
鳧(カモ):水辺の美食
冬の水辺に飛来する「天下第一の美味」淀川の鴨。江戸の猟師が編み出した巧みな捕獲の技。
紀伊・信濃・出羽
捕熊(くまがり)
山の王者と命懸けの猟師たち。熊の胆や毛皮に込められた、自然との厳しいやり取り。
巻三
海の幸 前編
三重県 伊勢
伊勢国 鮑・真珠・伊勢海老
神宮へ献上される鮑から、五色に輝く伊勢海老まで。伊勢の海が育む至宝の数々。
京都府 丹後
丹後国 与謝の海の鰤
日本海の荒波が育む「海の王者」。江戸の庶民に愛された切り売り文化と伝統の定置網漁。
福井県 若狭
鮪(マグロ)
冬網の熱狂。巨大なマグロを仕留める若狭漁師の誇りと、歴史に裏打ちされた解体技術。
香川県 讃岐
鰆(サワラ)
瀬戸内海に春を告げる使者。伝統の流し網漁と、江戸時代から愛されたカラスミ加工の知恵。
石川・福井
能登・若狭の鯖と五智網
二艘の船で魚を囲う「五智」の智慧。鯖街道の起点となった北陸の豊かな海と網漁の記録。
広島県 安芸
安芸の牡蠣(広島の養殖)
干潟に広がる竹の垣根「ひび建て」。三年の歳月が育む日本一の牡蠣と、冬の大坂を彩る牡蠣船。
巻四
海・川の幸 後編
高知・鹿児島
堅魚(鰹節)土佐・薩摩の至宝
牛角の擬似餌で群れを引き寄せ、一本釣りで数十尾を連続捕獲。土佐の清浄水が生む日本一の鰹節。
能登・越前・薩摩
生海鼠・海膽(なまこ・うに)
油で海底を透かして採るなまこ、琥珀色に輝くこのわた、越前・薩摩の最高級うに。塩辛中の第一。
兵庫・三重
摂津西宮の白魚と伊勢桑名の蛤
古代・宇治川の漁法を受け継ぐ西宮の振り漁と、溜まり醤油で炊く桑名「時雨蛤」。春と冬の名産。
富山・兵庫・越前
川の怪魚・珍魚(越中大鮸・播州飯鮒・河鹿)
牛馬をも食う越中の巨大タコ、腹に白米飯を宿す播州高砂の飯鮒。江戸随一の「河鹿」正体論争。
巻五
工芸・交易
岡山・滋賀
備前の水母(くらげ)と近江の石灰
「借眼公(かりまなこ)」の謎、石灰と明礬の加工法。水をかけると燃える「天下の至宝」石灰の秘密。
佐賀県 有田
肥前 伊万里焼(有田焼)
「本朝第一の陶器」。一枚の皿に七十二の工程。泉山の神秘の白磁土が生む日本の磁器の頂点。
新潟県 越後
越後縮布(えちごちぢみ)
豪雪が育む日本一の麻布。雪晒しの白さと、冬ごもりの女性たちが紡ぐ細い糸の物語。
北海道・長崎
松前の膃肭・昆布と長崎の異国船
命がけのオットセイ猟と昆布の一大流通網。大砲五十二発で入港するオランダ船──鎖国日本の二つの窓口。