冬の訪れとともに水辺へ飛来する「鴨(カモ)」。図会によれば、摂津国大坂近辺で捕れるものは非常に美味であり、特に淀川の中洲(北中島)産のものが最上品として珍重されてきました。今回は、その多様な生態と、先人たちが編み出した驚くほど巧妙な猟の数々を、4枚の挿絵とともにご紹介します。
カモを捕らえる方法は、場所や環境に合わせて多岐にわたります。「高縄(たかなわ)」は、池や水田に油入りの黐(もち)を塗った麻糸を張り渡す方法です。鳥が糸に触れると仕掛けが外れて体に絡みつき、これを「棚が落ちる」と呼びました。また、夕暮れ時の通り道に巨大な網を垂直に立てる「霞羅(霞網)」も一般的な猟法でした。
摂津国鳥飼付近に伝わる伝統猟法が「返網(かえしあみ)」です。あらかじめ砂地に伏せておいた網を、遠くから紐を引いて反転させ、集まったカモを一挙に捕らえます。これは「津国無雙」と謳われるほどの名人芸でした。
大坂近郊の山では、季節の変わり目に鴨が低い山の峠を越えて移動する習性を利用した「峯越(みねごし)」という猟法が行われていました。山の鞍部(くら)に幅広い網を張り、鴨が羽を休めながら峰を越える一瞬を狙う、息を詰めた待ち伏せの技です。
図会は鴨の多様な種類についても詳しく記録しています。「鳧(ふ)」すなわちカモの仲間は水辺に棲む野鳥の中でも特に食用として珍重されました。
なお「鶴・雁・鴨・鷺は食用として最も重宝される鳥なり」と図会は記しており、なかでも「淀川北中島産の鴨は天下一品」という評価は当時も現代も変わらぬものでした。
「4枚もの図解を見ると、昔の人がどれだけ工夫してカモさんを捕まえていたかよくわかるワン!糸が絡まる仕組みや、ひっくり返る網……まるで手品の仕掛けみたいだね。山の峠で待ち伏せする『峯越』も、水面に粘り罠を流す『流し黐』も、鴨さんの習性を知り尽くした名人芸だワン。鴛鴦が夫婦仲良くすることを江戸人も大事にしていたなんて、ほえ〜!だワン!」