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日本山海名産図会 巻二 (9)
捕熊(くまをとる):勇気と知恵の極致
山深き地に住まう熊。その巨体と強靭な力は人々に畏怖されましたが、一方でその肉や「熊胆(ゆうたん)」は、この上ない貴重な名産品でもありました。図会巻二の最後は、命を懸けて熊に挑んだ猟師たちの壮絶な記録と、真贋が厳しく問われた熊胆の文化を紐解きます。
知略を尽くした「天井吊り」と「斧打ち」
熊の捕獲法は地域ごとに驚くべき多様性を見せます。
- 天井吊り:飛騨や加賀で行われた石の罠です。二十荷分もの大石を頭上に仕掛け、熊が餌に触れた瞬間に落下させます。その音は雷のようで、熊は立ったまま足が地面にめり込んで即死するといいます。
- 駿河の斧打ち:巣穴の左右に二人の猟師が大きな斧を持って待ち構えます。別の者が穴を突くと、熊はたまらず手を差し出します。その瞬間、左右から斧で両手を切り落とし、生命線である「手の力」を奪って仕留めるのです。
【急所は月の輪の少し上】
美濃の竹槍、因幡の槍、肥後の鉄砲……。用いる武器は違えど、仕留める急所は共通して「月の輪」の少し上とされていました。北国では「なたき」と呼ばれる強力な武器も使われました。
和漢薬の至宝「熊胆」の真贋
熊の最も貴重な部位は「胆(きも)」です。加賀産を最上品とし、八月以降に採れる「冬胆」は特に汁が満ちていて質が良いとされました。しかし、あまりの貴重さゆえ、当時から偽物が多く出回っていました。
【本物を見分ける鑑定法】
米粒ほどの胆を水面に落とした際、不純物を避けるようにくるくると回転し、水底へ一条の線を描いて沈んでいくものが本物です。また、ただ苦いだけでなく、苦味の中にほのかな甘み(苦甘)があり、口の中がさっぱりするものが良品とされました。
深山の滋養「熊」の名産品
古くから「山の神からの授かりもの」とされてきた熊。厳しい冬を越えるための力強い味わいと、伝統の養生文化をお届けします。
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「大きな斧を持って巣穴の前で待ち伏せするなんて、心臓がバクバクしちゃうワン!でも、石の重みで足が地面にめり込むなんて、昔の人の話はスケールが大きくてびっくりだワン。熊胆の真贋を見極める水滴のテスト、一度本物で見てみたいワン!」