🌿 餅・団子

尾張餅

尾張餅(おわりもち・色餅)

『古今名物御前菓子秘伝抄』享保三年(1718年) 第78番

挿絵は準備中です
🌿 餅・団子色餅食べ頃の指定

上質のもち米をいかにも白くついてから水でよく洗い、乾かして臼でたたき、絹ふるいにかける。有平糖を引き伸ばすような固さに水でこねて蒸籠に詰めて蒸し、中まで十分蒸れたら普通の餅をつくようについて仕上げ、細いところを糸で切る。色餅にしたい場合は黄はくちなし・青はよもぎまたは大根の葉で染める。夕方の用意には昼前に作るのが良い。

材料もち米(上々・適量)、梔子(黄染め用)、蓬または大根の葉(青染め用)
①生地をつく上々のよい餅米を、できるだけ白くなるまで搗く。水でよく洗い、上げて乾かし、臼で搗いて絹篩でふるう。水で、けいらんの生地くらいの固さにこねる。
②蒸してつく蒸籠に一杯詰めて蒸し、中までよく蒸せたら、普通の餅を搗くように搗く。搗き加減は、有平糖などを引き伸ばすようによく伸びれば、よい頃合いである。上下へ引き伸ばし、細くなったところを糸で切る。
③色餅にする色餅にしたければ、黄色は梔子を刻んで湯で煮出し、その汁で粉をこねる。青は蓬、また九月頃であれば大根の葉も使える。すりからしを作るように鍋で煮て、その青みを粉にこね合わせる。
備考搗き加減の基準に1番「有平糖」、生地の固さの基準に62番「けいらん」を挙げる、原文が他項目を参照する例。

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尾張もち上々の能もち米をいるにも白くつき候て水にて能洗あげかはかしうすにてはゝかき絹ふるひにてふるひ扨水にてけいらんのこねよけんのことくにかたくこねせいろうに一はいつめむし候て中まて能むせ候時常の餅つゝことくつき申候つきかけんはあるへいたうなとを引のはし候やうに能のび候へはよきりけんにて候上下へ引のはし細き所を求にて切申候但し色餅に仕度候へは黄色はくちなしをきさみ湯にて出し候て其汁にて右の粉をこね申候青はよもき又九月比は大根ろ葉もすりからし仕候様になへにて煮候て其青みを右之粉にこね合申候晩の用意には昼前に出来仕候て能候拵立の後さめ申程能御座候

残る項目のなかで最も長い記述です。注目したいのは末尾の一行。「拵立の後、さめ申程能御座候」——作り立てより冷めたほうがよい、と書かれています。全百五種のなかで、食べ頃を明示している数少ない例です。

搗き加減の見極めも独特で、有平糖を引き伸ばすようによく伸びれば頃合い、とする。別の菓子の手触りを基準にしています。切るのは包丁ではなく糸。

色付けの記述も細かく、青は蓬、ただし九月頃なら大根の葉でもよいとある。季節で材料を替える指示です。

案内人の柴犬ほえまる

案内人:ほえまる

尾張の名を持つ餅!有平糖を引き伸ばすような加減という比喩が職人らしいワン。黄・青・白の3色で作る見た目の美しさ——「夕方の用意には昼前に作る」という段取りの良さも職人技だワン!