豊島石と並んで、図会が「天下の至宝」と讃えるのが御影石です。摂津国御影村(現在の神戸市)の名を負うこの白い巨石と、播磨に産する龍山石。前項「豊島石」で見た石の総論を踏まえ、この2つの銘石の性質と採掘の様子をたどります。
摂津国の武庫・菟原の二郡の山谷から産出されます。山下の海浜にある御影村に石工が集まっていたことからその名がつきました。色は非常に白く、極めて硬いのが特徴です。そのため、細かな細工を施しても角が崩れず、職人の意のままに加工することが可能です。城の石垣や仏像、墓石などに用いられ、磨き上げれば肌のように滑らかになる至宝とされています。
御影山はもともと海辺にあり、昔は牛車を使う必要もありませんでした。しかし次第に海岸が埋め立てられて山から遠ざかり、山口近くの石も取り尽くされたため、今では二十丁(約2.2km)も奥まで分け入って採掘し、住吉村から牛車で継ぎ送って御影村まで運び出しています。有馬街道や生瀬川原などで見かける石も、この奥山から出たものです。
「海が埋め立てられて山が遠くなったから、牛車で何度も継ぎ送って石を運ぶなんて大変だワン!一山まるごと一塊の龍山石も、スケールが大きすぎてびっくりだワン!」