炭は諸国から多く出るが、産地によって性質はさまざまである。杣人(そまびと)や材木流しと並ぶ、山の恵みを暮らしに変える林業の一連の技として、炭焼きの工程と諸国の炭質を記す。
炭は諸国から多く出る中でも、日向国(宮崎県)や紀州(和歌山県)麿野から出るものは性質がよいとされる。摂津池田の奥山から出るものは炭の名物として知られる。また和泉(大阪府)の横山炭も名品で、これは枝炭(えだずみ)である。
いずれも山に炭竈(すみがま)をすえて焼く。炭竈は、木や薪の出し入れに都合のよい場所にすえるものである。歌には「小野の炭竈」が詠まれているが、小野は山城国愛宕郡(現在の京都市)のことをいう。この竈の穴を「四つ目」と呼ぶ。
「炭にも産地でこんなに違いがあったんだね!小野の炭竈が古歌に詠まれるくらい、炭焼きは昔から生活に根付いた仕事だったんだワン。池田の炭がのちに茶の湯の最高級品になるなんて、ここから始まってたんだね。」