❄️ 冬の菓子

パン

パン(はん・発酵パン製法)

『古今名物御前菓子秘伝抄』享保三年(1718年) 第88番

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❄️ 冬🔥 焼き菓子発酵石窯

まず「ふるめんと(fermento・酵母)」を作る。うどんの粉1升を甘酒でこねて柔らかくして一夜置くとよく膨らむ。甘酒は常の麹5合を合わせ程にして少し泡立つ頃合いのときに濾してこねる。次にうどんの粉1斗に砂糖640匁(約2.4kg)とふるめんとを入れ、水でこねる。丸パンでも平パンでも好み次第に作り、膨らんだら石窯で焼く。窯は上方4尺4方ほど、高さは外5尺・内3尺ほどの石造り。薪2束ほど焚いて炭をかき出し、濡らした藁箒で掃いてパンを並べて口をふさいで焼く。

材料小麦粉(うどんの粉、合計約1斗1升)、砂糖(六百四十匁・約2.4kg)、甘酒(ふるめんと用)
①ふるめんと(発酵種)を作る小麦粉一升を甘酒でこね、できるだけ柔らかくこねて一晩置くとよく膨らむ。甘酒は通常の麹五合を合わせ、少し泡立ってきたら笊で漉してからこねる。
②生地をこねる小麦粉一斗に砂糖六百四十匁(約2.4kg)とふるめんとを入れ、水でよい加減にこねる。丸くても平たくても好みの形に作り、箱の蓋に並べて置くと膨らむ。夏は二〜四時間、冬は遅い。
③窯を築く上部は四尺四方、高さは外五尺・内三尺ほど。石や瓦の割れを混ぜて練り塀のように塗り、上へ行くほど細く、天井の合わせ目は平石で塞ぐ。外側を二、三度上塗りし、側面の土は七、八寸の厚さに塗る。口は一尺五寸四方。
④焼く薪二束ほどを焚いて熾をかき出し、水で湿らせた藁箒で灰を掃いてから生地を並べる。窯の口を莚や菰で塞ぎ、少し開けて具合を見ながら入れ替えて焼く。飯を二釜炊くほどの間に小麦粉一斗分を焼き上げる。
備考甘酒で種を起こす酒種法は21番「饅頭」22番「甘酒」と共通する。ここまで具体的な窯の築き方の記述は、同時代の他書にも例を見ないとされる。

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はん仕やう先ふるめんと申物を仕候是はうとんの粉壱升あま酒にてこねいるにもやはらかにこね何人成とも入一夜置申候へはよくふくれ申候甘酒作様常の糀五合あはせ程に仕があはたち能かけんの時すいのうにてこしこね申候扨うとんの粉壱斗に沙糖六百四拾目ふるめんとを入水にて能かけんにこね申候はん作やう丸はんにてもひらはんにても望次第作り。箱のふたにならへ置候へは其はんふくれ申候ふくれ様夏は一時二時の内にふくれ申候。冬はをそくふくれ申候何時にてもふくれたる時やき申候風呂作様上方四尺四方程にてはんの出入もよく候高さ外にて五尺内は三尺程に仕候わきはねりへいのことくに石か又はかはらのわれを入ぬりたて申候次第に上ほぞにぬり上の取合の所は平石を置其上を細く丸くぬりとめ申候其後外は二三へん上ぬり仕候但わき土のあつさ七八尺計ぬりたて申候事風呂の口壱尺五寸四方程に仕候口の上わき三方は石にて仕候下はしきかはらにかゝり申候事三尺廻りの薪二束程たき扨其おきをかき出しわらのはうきを水にしめし内のごみを能はき出し扨はんをならへ申候ふろの口をむしろにてもこもにても水に能しめしふさき申候少間口をあけかけんを見大方やけ候へは取出し候なまやけに候へは又脇にたて置候てやきなまなるはんを又ならへ置口をふざきひたとかけんを見入かゑ〳〵やき申候食二かま程たき申間には右の粉壱斗ふんやき申候右のはん袋出入仕候道具は板にても食かいのことくに仕候先を丸く五寸四方程に仕こしらへ三四尺程に仕候

甘酒で「ふるめん」という種を起こし、小麦粉と砂糖に混ぜて発酵させる。現代のあんぱんに使われる酒種と同じ系統の技術です。

そして本項の特異さは、菓子そのものより窯にあります。高さ五尺、口は一尺五寸四方。石や瓦の割れを混ぜて練り塀のように塗り上げ、天井の合わせ目には平石を置く。薪を焚いて熾をかき出し、藁箒を水で湿らせて灰を掃き出してから生地を並べる。

この時代、パン焼きかまどをここまで具体的に記した書物は他に見当たらないとされています。菓子の製法書に、建築の手順がそのまま書き残されました。

案内人の柴犬ほえまる

案内人:ほえまる

江戸時代にパンのレシピが載っている!「ふるめんと」はポルトガル語の「fermento(発酵)」——つまり本格的な酵母発酵パンだワン。石窯の作り方まで詳しく書いてある徹底ぶりにほえ〜!南蛮文化が江戸の菓子にまで影響を与えていたワン!