🌿 餅・団子

饅頭

饅頭(まんじゅう)

『古今名物御前菓子秘伝抄』享保三年(1718年) 第21番

饅頭
🌿 餅・団子発酵菓子甘酒こしあん

小麦粉を甘酒で固くこねて柔らかくもみ、丸く平らにして中にあんを包む。囲炉裏に火をおこして夏は約2時間、冬は約6時間温めてから、蒸籠に並べて蒸す。

材料小麦粉(適量)、甘酒(適量・22番参照)、こしあん(適量・23〜24番参照)
①生地をこねる小麦粉を甘酒で固くこねて、さらに柔らかくなるまでよくもむ。甘酒の酵母が発酵を促し、生地をふっくらと仕上げる。
②発酵させる囲炉裏に火をおこし、夏は約2時間・冬は約6時間温めて生地を発酵させる。季節によって発酵時間を変える細やかな指示が職人らしい。
③包んで蒸す発酵した生地を丸く平らにのばし、中にあんを包む。蒸籠に並べて蒸して完成。
ポイント小麦粉を甘酒でこねる——これはパンの発酵と同じ原理。江戸の菓子職人は酵母の仕組みを知らずとも、経験で甘酒の「力」を使いこなしていた。

道明寺餅米を柔らかくご飯に炊き、米1升に水2合を加え、上白米の麹5合(麹の花は洗い捨てる)を入れ、夏は約3日・冬は約7日置いてから、かすを濾して使う。

材料道明寺餅米(1升)、水(2合)、上白米の麹(5合)
①炊いて麹を加える餅米を柔らかめにご飯として炊き、水2合を加えて温度を調節してから、麹の花(白い粉)を洗い捨てた麹5合を加える。
②発酵させる夏は約3日・冬は約7日置いて発酵させる。麹菌が糖を分解し、甘く香る甘酒になる。
③濾して使うかすを濾し取り、液体だけを饅頭の生地に使う。
ポイント「麹の花を洗い捨てる」という細かい指示が印象的。余分な菌を除いて甘酒の質を整える職人の知恵。饅頭用に仕込む甘酒は、飲用より濃く、酵母が豊富な状態が理想。

上質の小豆をよく煮て、臼でついてから水を入れてざるで濾す。ざるの目から出たものを細かい毛の裏ごし器で水ごと濾し、さらに水ごと袋に入れて絞る。袋の中に残ったものの水気を取って使う。

材料上質の小豆(適量)、水(適量)
①煮て臼でつく上質の小豆をよく煮て、臼でつく。現代のフードプロセッサーに相当する工程。
②ざるで濾す水を加えてざるで濾す。皮などの大きな粒を取り除く粗濾しの工程。
③裏ごしするざるを通ったものを、さらに毛の裏ごし器(現代の裏ごし器に相当)で濾す。きめ細かいこしあんに仕上げる重要な工程。
④袋で絞る水ごと布袋に入れて絞り、水分を取り除く。袋の内側に残ったものがこしあんの素になる。
ポイント臼→ざる→裏ごし→布絞りと、4段階の工程を経てやっとこしあんが完成する。全て手作業だった江戸時代、こしあんは本当に手間のかかる高級食材だった。

23番で作った小豆の濾し粉1升に白砂糖5合を加えてよく混ぜ合わせ、その後濾して使う。

材料こしあん粉(1升・23番で作る)、白砂糖(5合)
配合こしあん粉と白砂糖を2:1の割合で混ぜ合わせる。現代のあんより砂糖が少なく、素材の風味が活きる配合。
仕上げよく混ぜたあと、もう一度濾してから使う。なめらかな口当たりにするための最後の工程。
ポイント小豆粉と砂糖だけのシンプルな配合。砂糖の量が粉の半分というのが江戸時代の甘さの基準。現代のあんこに比べると控えめで、小豆の風味が前面に出る素朴な味わいが想像できる。

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まんちう小麦の粉をあま酒にてかたくこねやはらかにもみ丸ひらめ中にあんをつゝみいろりに火を置夏は一時程冬は三時程あたゝめ其後こしきにならへむし申候
右あま酒の作り様たうほし餅米をやはらかにめしにして米一升に水二合入候上白米のかうじ五合但しかうしの花を洗捨なつは三日程ふゆは七日程にてかすをこしつかひ申候
あんにつかひ申候小豆の仕様上々の小豆を能煮候てうすにてつき水をいれさるにてこしざるのめより出申候をこまりなるもとをしにて候共にこし又の共に袋に入しほり袋の内にとまり申候を水けをさりつかひ申候
あんのこしらへやう右小豆のこし粉一升に白沙糖五合いれ能まぜ合其後こしつかひ申候
案内人の柴犬ほえまる

案内人:ほえまる

甘酒の酵母で生地を発酵させてふっくらさせる——パンと同じ原理だワン!夏と冬で発酵時間が違うのも丁寧な指示。しかも甘酒を仕込むところからこしあんを作るところまで全部レシピに書いてある——饅頭ひとつ作るのに実は4つの工程があったワン!臼でついてざるで濾して裏ごしして袋で絞って……江戸の職人さんの手間に頭が下がるワン!