妙品

石焼とうふ・犂やき・炒とうふ

いしやきとうふ・からすきやき・いりとうふ

『豆腐百珍』天明二年(1782年) 妙品 第83品・第84品・第85品

石焼とうふ
🔥 焼く平鍋青海苔同居3品

もとは石で焼いたものを、略して平たい鍋(鏊子)を使う。

炭火をおこし、鍋に油を少し入れてよく塗りまわす。ただし、油をひくというよりは多めにする。豆腐を一寸(約3cm)角、厚さ三分(約9mm)あまりに切って、鍋にちょいと置くと、躍るように動く。それをすぐに鶏卵匕(たまごしゃくし)で裏返す。すぐに食べる。おろし大根と生醤油で食べる。

材料豆腐、油、おろし大根、生醤油
道具平たい鍋(鏊子)、炭火、鶏卵匕
①鍋に油を塗る炭火をおこし、鍋に油を少し入れてよく塗りまわす。油は「ひく」より多め。
②豆腐を切る豆腐を一寸(約3cm)角、厚さ三分(約9mm)あまりに切る。
③置いてすぐ返す鍋にちょいと置くと躍るように動く。すぐに鶏卵匕で裏返す。
④すぐ食べる焼けたらすぐに、おろし大根と生醤油で食べる。
ポイント「鶏卵匕」がどんな形の道具かは書かれていない。冒頭の「用ゆ」の後の一字は読めない(原文欄の〓)。
石焼とうふの作り方。①鍋に油を塗る ②豆腐を切る ③置いてすぐ返す ④すぐ食べる

図の番号は、上の表の①〜④に対応する。

炒とうふ

青海苔をあぶって、よく細かくし、方盤のようなものへ広げる。油をよく煮立てて、少しずつすくって海苔の上へ落とし、転がしてよくかき混ぜ、弱火にしばらくかけて、醤油で味をつける。これを石焼とうふにつけて食べるのを「炒とうふ」という。

差分焼いた豆腐に、油で練って醤油で味をつけた青海苔をつけて食べる。焼き方は石焼とうふと同じ。
本文の位置第85品の見出しには「同じく右石焼の下に出たり」とあり、作り方は第83品の本文の中(▲印の一段目)にある。
不明な点「方盤」がどのような器かは書かれていない。
犂やき

平たい鍋の代わりに、ごく古い犂(からすき)の刃(図)を使う。これを「からすき焼(やき)」という。

差分鍋の代わりに、使い古した犂(田畑を耕す農具)の刃で焼く。それ以外は石焼とうふと同じ。
本文の位置第84品の見出しには「右に出たり」とあり、作り方は第83品の本文の中(▲印の二段目)にある。原文では炒とうふの後に書かれている。
原文の図刃の形が小さな図で描かれている(原本の左ページ下寄り)。
豆腐百珍の原本。石焼とうふ・炒とうふ・犂やきの項
原本(右端がコマ030の「八十三 石焼とうふ」、その左がコマ031)。右から左へ読む。左端に「八十四 犂やき」「八十五 炒とうふ」の見出しがある
八十三 石焼とうふ
もと石にてやくを略して鏊子を用〓
炭火を熾し鏊子に油を少し入れよくぬりまはし但し油をひくといふよりは饒くする也豆腐を壱寸方あつさ三分あまりに切てなべにちよいとをけばおどりうごくをぢきに鶏卵匕にてうちかへす也すぐに用る也おろし蘿蔔生豆油にて用ゆ
▲青海苔を炙よく細末し方盤やうのものへひろげ油をよく沸せ少しづゝすくひ海苔の上へおとし転しよく攪せ文火にしばらくかけ醤油にて味つけたるを右の豆腐につけて用るを炒とうふといふ
▲鏊子のかはりにいかにも古き犂の鑱[図]を用る是をからすき炒といふ也

八十四 犂やき 右に出たり
八十五 炒とうふ 同しく右石焼の下に出たり

原本(jpg)で読んだ。字体は通行の字体に改め、振り仮名は省いた(「蘿蔔」はだいこん、「文火」はぬるきひ、「からすき炒」の「炒」はやき)。「鑱」は字形から推定した字で、振り仮名は「さき」。〓は読めなかった字。

案内人の柴犬ほえまる

案内人:ほえまる

熱い鍋に置いた豆腐が躍り出すのを、すぐ返してすぐ食べる。焼きたて勝負の料理だワン。鍋がなければ古い犂の刃で焼く、というのもたくましいワン!