尋常品

凍とうふ・速成凍豆腐

こおりどうふ・そくせいこおりどうふ

『豆腐百珍』天明二年(1782年) 尋常品 第12品・第13品

凍とうふ・速成凍豆腐
❄ 凍らせる高野豆腐保存食同居2品

豆腐一丁を八つほどに切り、籃(かご)に並べて熱湯をかけ、外へ出して、厳しい寒空に一夜さらす。翌日また湯で煮てやわらかくし、浮き上がってきたら取り上げ、少し重しをかけておく。またかごに並べ、何日も日に干す。

煮る湯に山梔子(くちなし)の実を割って入れるとよい。後で虫がつくのを防ぐためである。夜半より後にさらすのがよく、宵のうちはよくない。「高野とうふ」ともいう。

材料豆腐、山梔子(くちなし)の実
①切って湯をかける豆腐一丁を八つほどに切ってかごに並べ、熱湯をかける。煮る湯には割った山梔子の実を入れるとよい。
②寒空に一夜さらす外に出し、厳しい寒空に一夜さらして凍らせる。夜半を過ぎてから出すのがよい。
③煮て重しをかける翌日また湯で煮てやわらかくし、浮き上がったら取り上げて少し重しをかける。
④何日も日に干すまたかごに並べ、何日も日に干す。
ポイント食べ方は書かれていない(保存のための作り方)。山梔子を入れるのは虫よけのため、と原文に理由まで書いてある。
凍とうふ・速成凍豆腐の作り方。①切って湯をかける ②寒空に一夜さらす ③煮て重しをかける ④何日も日に干す

図の番号は、上の表の①〜④に対応する。

速成凍豆腐

右(凍とうふ)と同じようにして、寒空に一夜さらすだけで、翌日すぐに使うものを「速成凍(そくせいこおり)」という。

差分何日も日に干さず、一夜凍らせただけで翌日すぐに使う。
本文の位置第13品の見出しには「右に出たり」とあり、作り方は第12品の本文の中(▲印の段)にある。
読み見出しの振り仮名が一部読み取れないため、読みは仮とした。

原文は別名を「高野とうふ」とだけ書く。今も凍り豆腐を高野豆腐と呼ぶのと同じ名前で、天明のころにはすでにこの呼び名があったことがわかる。

豆腐百珍の原本。凍とうふ・速成凍豆腐の項
原本(コマ015)。
右の「十二」から読み、左端に「十三」の見出し
十二 凍とうふ
壱挺を八ツほどに切り籃にならべ沸湯をかけそとへ出し極寒天に一夜さらし翌日またゆにて烹やはらげ浮あがるときとりあげ少し壓をかけをきまたかごにならべ幾日も大陽にさらす也○瀹湯に山梔子をわりて入るゝがよし後に蟲はむをふせぐため也○夜半よりのちにさらすがよしよひはよろしからず○又高野とうふともいふ
▲右の如くして寒天に一夜さらす而巳にて翌日直に用るを速成凍といふ

十三 速成凍豆腐 右に出たり

原本(jpg)で読んだ。字体は通行の字体に改め、振り仮名は省いた(「籃」はかご、「極寒天」はごくかんてん、「瀹湯」はゆでゆ、「山梔子」はくちなし、「而巳」はのみ)。

案内人の柴犬ほえまる

案内人:ほえまる

寒い夜にさらして凍らせて、何日も干す。高野豆腐は江戸時代から同じ名前だったんだワン。虫よけにくちなしを入れる知恵もすごいワン。