春の到来を告げる透き通った白魚(しらうお)と、冬の風物詩「時雨蛤(しぐれはまぐり)」。いずれも江戸時代に名産として名高く、川の恵みと海の恵みを人々が食卓に迎えた春と冬の風景を伝えます。摂津西宮の精巧な「振り漁」と、伊勢桑名の溜まり醤油で炊いた蛤の深い味わい──江戸の食文化を彩った二つの名産を辿ります。
摂津国(兵庫)西宮の入江では、春二〜三月ごろ、川岸に沿って五か所ほど藁小屋を両岸に交互に建て並べ、精巧な「振り漁(ふりりょう)」が行われる。
川岸から一〜二間(約1.8〜3.6m)突き出た網(振)を張り、潮の満ち引きを利用して魚を誘い込む。柱の頭に穴を開けて小車(滑車)を取り付け、網を引き上げやすくして、蚊帳の布を使った四手網(よつであみ)で掬い取る仕組み。
これは奈良時代の「宇治川の網代木(あじろぎ)」の漁法を継承したものだと著者は指摘しており、万葉集にも詠まれた古代からの漁業文化の流れが、江戸時代の西宮に息づいていたことがわかる。
伊勢国桑名(三重県桑名市)の蛤は江戸時代から名産として広く知られていた。「焼き蛤」として食べるほか、「時雨蛤(しぐれはまぐり)」として加工・販売された。
時雨蛤の作り方:溜まり味噌を漬け込んだ桶の上澄み(「溜り(たまり)醤油」)に蛤を煮込んで作る上品な佃煮。旅人が土産として買い求めた名物で、その深いコクと甘辛の味わいは今に伝わっている。
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西宮の白魚漁の仕掛けって、滑車と網を組み合わせた精密機械みたいだワン!古代の宇治川から江戸の西宮まで、同じ発想の漁法が続いていたなんて、日本の漁師さんたちは本当に賢かったんだワン!時雨蛤は今でも桑名の名物として売ってるワン、嬉しいワン!