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日本山海名産図会 巻二 (11)

蘡薁虫(えびづるのむし):蔓の中に眠る守り神

前項「山蛤」と同じく、図会が子供の健康を守る名産として記すのが、野生のブドウ(エビヅル)の蔓に潜む「蘡薁虫(えびづるのむし)」です。

※この項目には、原典に対応する挿絵がありません(本文のみの記載です)。

一名「野葡萄」とも呼ばれる蘡薁(えびづる)は、野生のブドウの蔓の中に潜む白い虫のことです。山城国の鷹ヶ峰で採れるものが最上品とされました。三月に黄白色の小花穂をつけ、七・八月に薄紫の小さな丸い実を結びます。蔓に所々ぷっくりと膨らんだ箇所があり、その中に白い虫が潜んでいます。

これを「小児の疳を治する薬」として枝ごと切って市中で売りました。和漢の書物には前例のない記述ながら、図会はその薬効を高く評価しています。

「柳の虫や常山の虫よりも優れている」──他の和漢の書には見られない独自の評価。著者がこの植物を実際に観察・研究した証拠ともいえます。
虫だけじゃない──植物本体の三つの使い道
①奈良では実を採って芯を除き、煎じ詰めて練り物のように食用とする。②葉の裏の毛を乾かして揉むと艾綿(もぐさ)のようになり、疣(いぼ)を治す「イボ落とし」として使う。③中国の唐詩に詠まれた「葡萄の美酒」の原料はこの植物ではないかとも言われ、古くから人と深く関わってきました。

なお、「野葡萄」という呼び名から、現在よく知られる山葡萄(ヤマブドウ)を連想されるかもしれませんが、両者は異なる植物です。図会が記す蘡薁は、山葡萄とは別種の野生種であるという点にご留意ください。

山野の自然薬・薬草を現代に

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

蔓の中にいる虫さんまで薬にするなんて、昔の人は山の隅々まで本当によく観察していたんだね。野葡萄って名前でも、今のヤマブドウとは別のものだったなんて、ほえ〜!だワン。