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日本山海名産図会 巻二 (10)

山蛤(アカガエル):桃色に輝く笹原の恵み

江戸時代の山里には、現代では思いもよらない「薬」の知恵が息づいていました。笹原を跳ねる「山蛤(アカガエル)」もその一つ。図会は、その捕獲法から加工、薬効までを詳しく記録しています。

山蛤の捕獲風景

山城の峡谷や丹波・播州佐用の山から多く産出される山蛤は、笹原や茅原の隅に生息します。手足が非常に長く、目は扇の要に似た形をしており、普通の蛙とは一線を画す風貌です。

捕獲には小さな網を用いるか、「唐網」と呼ばれる籠型の網の頭を両手で独楽のように回転させ、三尺四方に広げて一気に押さえる熟練の技が使われました。

「桃色のサテン」──偽物が出回るほどの人気
捕らえた山蛤は内臓を抜いて干物に仕上げます。乾燥した身は「桃色の繻子(さてん)のごとし」と形容されるほど美しく、子供の疳(かん)や滋養強壮の薬として広く求められました。しかし当時から偽物が多く出回るほどの人気品であったと図会は記録しています。
本草綱目に「山蛤は蝦蟆より大きく色黄なり」とあるが、日本の山蛤とは様子が違う──図会は「国を異にするゆえもあるか」と、中国と日本で生息種が異なる可能性を冷静に指摘しています。

野葡萄の蔓に潜む白い虫「蘡薁虫」については次項「野葡萄(蘡薁虫)」でご紹介します。

ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

カエルさんの干物が「桃色のサテン」みたいに綺麗だなんて、ちょっと意外だワン!中国の本草綱目の記述を「国が違うから違うかもね」とちゃんと疑ってみせる著者の目も、ほえ〜!だワン。