前項「蜂蜜」で見た通り、蜜を採ったあとの蜂の巣は、そのまま捨てられることはありません。巣を絞った滓(かす)を精製して得られるのが「蜜蝋」です。別名を「黄蝋(きろう)」ともいい、蜂蜜と並ぶ大切な副産物として扱われてきました。
蜜蝋は、蜂の巣そのものを絞った滓です。蜜を取るには二通りの方法があります。まだ生蜜を切り取っていない巣を鍋に入れて水で煮る方法と、生蜜を取ったあとの巣を煮る方法です。
巣が沸き立ったところで、別の器に冷水を張り、その上に籠(ざる)を置きます。そこへ煮汁を移すと、滓は籠に留まり、蝋分だけが下の器の水面に浮かび上がります。これを陶器に移して重湯にすれば、自然に固まって蝋となるのです。あるいは、熟した蜜を鍋で沸かすと、蜜は上に浮き、蝋は中ほどに、滓は底に分かれます。これを冷ますだけでも、自然に黄色い蝋として結晶します。
なお、深い崖の石の上などに、蜂が長年かけて自然に貯えた蜜が熟成することもあり、土地の者は長い竹の管を刺し込んで蜜を流し出して採ることもあったと伝えられています。
奥州会津には、この蜜蝋とはまったく別の原料から作られる「会津蝋」という名産がありました。詳しくは次項「会津蝋」でご紹介します。
「蜜を採ったあとの巣まで無駄にせず、煮て浮かせて蝋にしちゃうなんて、江戸時代の人はとことん恵みを使い切るワン!蝋だけで箱の修理代がまかなえるくらい貴重だったなんて、ほえ〜!だワン!」