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日本山海名物図会 巻五

鳥貝・蛸・海人の技

海の幸と海に生きる人々を記録する三章。帆を張って風に乗りながら籠網で掻き取る鳥貝漁。播磨明石(兵庫県)の名産・蛸と、壺を使った罠漁の知恵。そして裸で海に潜り鮑を採る「海女(あま)」「海士(あま)」の暮らし——その勇壮な仕事ぶりが詳しく記される。

鳥貝漁の図

鳥貝——帆を張って風任せに籠網で掻き取る

「鳥貝」というものは昔はなかった(記録がなかった)。また六十年ほどは人々が知らなかったが、二、三十年この方(近年)は甚だ賞翫されることとなった。ただし下品(格下)の貝なので、貴人などの料理には用いない。

この貝を取るには、籠網を舟の後に付けて、舟には帆を掛けて風に随って走らせる。籠網が土砂と共に鳥貝を掻き込んで取る。蜆・蛤を取るのとだいたい同じ方法である。

蛸漁の図

明石の蛸——壺漁と唾で外す術

蛸(たこ)には大蛸・普通の蛸・小八橋(こやつばし)・望潮魚(もうちょうぎょ)・召矩(しょうきょ)などがある。播磨(兵庫県)の明石の蛸は名物である。但馬(兵庫県北部)の大蛸は甚だ大きく、牛馬を取ったり、舟の中へ手を差し伸べて人の有無を確かめるという。

蛸を取るには、蛸壺をいくらも綱につなげて桐の木の切り口を「うけ(浮き)」につけて流し置く。二日一夜過ぎて引き上げると、壺の内に蛸が入って居る。海中で人に吸い付かれた場合は、唾(つば)をかけると離れるという。

「蛸壺漁」は現在も兵庫県明石市周辺で行われている伝統漁法。蛸が暗い場所に潜り込む習性を利用するもので、この方法は少なくとも江戸時代から変わっていない。明石の蛸は今も高品質のブランドとして知られる。
海人(あま)の図

海人——裸で海底に潜り鮑を採る

「海人(あま)」は女性ばかりだと思われているが、男の海士(あま)もいる。「何人(なんびと)」とは田力女(田を耕す女)の返称であるとも言う。裸で海中へ飛び込み、鮑(あわび)貝を取る。籠に縄をつけて海底へ持ちゆき、鮑貝を取り入れる。海士が海上に上がれば、すぐに縄を引いてその籠を舟へ取り入れる。

海人の生計はさまざまで、舟で釣針を使って鯛なども釣る。暖かい年は鯛は網でよく取れ、また縄にもよくかかる。

「海女」の仕事は今日も三重県志摩地方などで続いている。2015年には「海女(あま)文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、江戸時代から変わらぬ素潜り漁の技が世界から注目されている。

海の幸を今に

鳥貝・明石蛸・鮑——播磨・摂津の海の名産

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「蛸に吸い付かれたら唾をかけると離れるって、江戸時代の漁師の知恵だワン!海女さんは女性だけじゃなくて男性の海士もいるって書いてあるのが公平だワン。蛸壺漁って今も変わらない漁法なんだワン!」