巻四の最後を飾るのは大坂の秋の風物詩と河内(大阪府)の名物干飯。天満橋から天神橋にかけての天満市の町では、夜になると松明(たいまつ)を灯して松茸を売る幻想的な光景が広がる。そして菅原道真の伯母が開いた道明寺(どうみょうじ)から出る干飯は、夏でも腐らない優れた保存食である。
大坂の天満橋の北詰めより天神橋の北詰めの間を「天満市(てんまいち)の町」という。青物・干物などの大市が毎日毎夜盛んに行われる。松茸の頃は特に賑わい、松茸市は夜になると「松明(たいまつ)を灯して商う」ため幻想的な光景となる。
摂津国(兵庫県・大阪府)の能勢・勝尾(かつお)などの山々から夥しく出て、また丹波(京都府北部)からも多く来る。京都には高倉通・綿下る町に松茸市があり、甚だ繁昌している。京の稲荷山・高雄山・竜安寺などの松茸が名物である。
河内国(大阪府)道明寺(どうみょうじ)は、菅原道真(すがわらのみちざね)の伯母君の開基(かいき)であり、今も尼寺である。この寺から出る「干飯(ほしいい)」は名物である。上白米を蒸し上げ、臼で細かく挽き割り、袋に詰めて出荷する。夏の暑い中でも水に浸して腐ることなく用いることができる。
「松茸市で夜になると松明を灯して商売するって、幻想的な光景だワン!道明寺は菅原道真公のゆかりのお寺で、今でも桜餅に使う道明寺粉が有名なんだワン。江戸時代の干飯が現代まで繋がってるんだね!」