← 一覧へ戻る
日本山海名物図会 巻四

伊予牛房と松前昆布

日本最大の牛蒡(ごぼう)として名高い伊予(愛媛県)の巨大牛房。長さ三〜四尺(90〜120cm)に達し、その種は腫れ物の薬にもなる。もう一方は、北海道松前から遥々京都まで旅する昆布の大流通網——「若狭昆布」が若狭産ではないという驚きの真実。

伊予牛蒡の図

伊予牛房——長さ三〜四尺の日本最大の牛蒡

平家牛房(ひらかごぼう)は太くて、その味が良い。長さは三〜四尺(約90〜120cm)もあり、牛蒡の名物である。城州(山城国)の八幡牛蒡も名物として名高いが、その大きさは伊予の牛蒡には及ばない。

牛蒡の虫(牛蒡子)を「大刀子(だいとうす)」という。これを種物として、その実を一粒飲めば、早速に腫れ物(できもの)の口が開いて膿を出すという。中国(唐)では牛蒡の若い苗の部分のみを賞翫して、その根は人々が多く食さないと『本草綱目(ほんぞうこうもく)』には書かれている。

「たとひ項羽の力ありとも鋤なくては牛房ぬきがたし」——牛蒡を抜くには鋤が必要なほど根が深く伸びる。深く根を張る牛蒡は縁起物として結婚式にも使われ、日本人の食文化に深く根ざした野菜である。
松前昆布の図

松前昆布——北海道から京都まで旅する昆布の道

奥州(北海道)松前の海中の石に着いて生える。長さ数丈(数メートル)も海上に浮かびでるものを、長柄の鎌で舟から切って取り上げる。人家の屋根に干し、また屋根を昆布で葺く(ふく)こともある。

「若狭昆布(わかさこんぶ)」は若狭の海から出るのではない。松前産のものを若狭(福井県)に売り伝えて、ここで加工して売るので名物となったのである。松前からは乾鮭・干海鼠(ほしなまこ)・串鮑(くしあわび)なども多く出る。

「昆布ロード」は北海道松前から若狭、さらに京都・大坂へ続く江戸時代の大流通網だった。若狭では松前産の昆布を独自の製法で仕上げ「若狭昆布」として再ブランド化。産地ではなく加工地の名がついた典型例として、浅草海苔と同様の興味深い命名の歴史がある。

海と山の恵み

伊予の大ごぼうと松前の昆布——日本の食文化を支えた名産

※楽天アフィリエイトを利用しています。

ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「若狭昆布って若狭で採れると思ったら松前から運んで若狭で加工するから若狭昆布なんだワン!産地じゃなくて加工地の名前なの!?江戸時代の昆布ロードって北海道から京都まで繋がってたんだね、感動だワン!」