巻四は摂津住吉大社の神事から始まる。毎年九月十三日の「宝の市」で、参詣者が升や物差しを縁起物として買い求める賑わい。そして大和三輪(奈良県)の索麺(そうめん)は、糸のように細く雪のように白く、旅籠でもてなしに供されるほどの名物である。
摂津国住吉太神宮(住吉大社)では、毎年九月十三日に「宝の市」という大神事が行われる。社務・社司・大禰宜(おおねぎ)が残らず出仕し、神領・大坂・その他の村々から参詣の人が夥しく集まる。
商人たちが升(ます)・物差し(尺)などを尊に並べて売り、参詣の人はこれが吉非(縁起物)なりとして買って帰る。宝市の詳細は『住吉名勝志』に見える。
大和国(奈良県)三輪の索麺(そうめん)は名物である。細いことは糸のようで、白いことは雪のようである。茹でても太らず、余国から出るそうめんの及ぶところではない。また阿波(徳島県)から出るものも名産で、三輪のそうめんに劣らない。
三輪には大己貴命(おおなむちのみこと)の神社がある。御神体は山そのものであり、鳥居だけあって社はない。参詣の人が多いため三輪の町は繁昌している。旅人を泊める旅籠(はたごや)でも名物だとして、そうめんでもてなすのである。
「住吉大社のお祭りで升や物差しを買うと縁起が良いって、何か商売繁盛や正直さへの願いが込められてるんだろうワン。三輪そうめんは旅人をもてなす旅籠の料理にもなってたなんて、奈良の誇りだワン!」