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日本山海名物図会 巻三

浅草海苔と京都西陣織

江戸の名物「浅草海苔」は、実は品川の海で採れる。加工の地の名が商品名になったこの海苔の誕生の謎。一方、西陣の高機(たかはた)と空引(からびき)で織り出される絹織物は、緞子・金襴・天鵞絨など数十種類にのぼり、「中国(唐)にも勝る」と誇らしく記される。

浅草海苔の図

浅草海苔——品川で採れ浅草で仕上げる名物

この海苔の元(原料)は、武蔵国(東京都)品川の海に生える。品川の町で製したものを「品川のり」というが、「浅草のり」は品川で取ったものをこの場所(浅草)で仕上げたものである。浅草海苔は仕上がりが宜しく、きれいで名物となっている。

その他、下総の葛西のり、出雲の十六島(うっぷるい)も皆名物である。また各地に川のりもある——駿州富士川より出るものを「富士のり」、下野日光山の川から出るものを「日光のり」、肥後の南地川から出るものを「菊池のり」、同国水前寺のものも有名な河苔(かわのり)である。

「浅草海苔」という名前が残ったのは、浅草での加工・販売が有名だったからである。産地ではなく加工地の名前が商品名となったケースは歴史的に多い。今日の「浅草海苔」の名声は江戸時代に確立されたものである。
京都西陣織屋の図

京都西陣——唐織にも勝る豪華な絹織物

京都で織り出す織物は甚だ精巧(功奢)で、唐織(中国の織物)に負けない。中でも二重(ふたえ)のものは中国にも勝ってこまやか(細密)である。その品の種類を大概あげれば——

緞子(どんす)・綿錬(めんねり)・金襴(きんらん)・縮緬(ちりめん)・紗綾(さや)・綸子(りんず)・繻子(しゅす)・毛織(けおり)・紋絹(もんぎぬ)・光綾(こうあや)・茶宇(ちゃう)・光絹(こうきぬ)・竜紋(りゅうもん)・熨斗目(のしめ)・天鵞絨(びろーど)・錦(にしき)・綾(あや)・紗(しゃ)・茶丸(ちゃまる)・白呂(しろろ)・兜羅(とら)綿・片色(かたいろ)・糸絵絹(いとえぎぬ)・餅絹(もちぎぬ)などである。

「高機(たかはた)」で金銀を今・織りの類を、「空引(からびき)」という上の方で地紋(じもん)を綾どる技法で織り出している。

西陣織の「空引機(からびきばた)」は中国の花楼機(はなろうき)を改良したもの。複雑な文様を一本ずつ手で糸を引いて作る精密な技術は、数百年にわたって京都の職人に受け継がれてきた。

江戸の海苔・京の織物

浅草海苔と西陣織——日本の食と美を彩る名産

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「浅草海苔って実は品川で採れるんだワン!加工する場所の名前が商品名になったのが面白いワン。西陣織は緞子・金襴・天鵞絨など二十種類以上、中国の唐織にも勝るって書いてあるのが誇らしいワン!」