巻三の冒頭を飾る東国の名産。江戸から三十一里の日光山から出る椀や膳は、「堅地にして強し」と称される丈夫な漆器で、日用品として広く愛用された。
下野国(栃木県)の日光山は、江戸より三十一里の地にある。ここより出る椀や膳(めし台)は、「堅地(かたじ)にして強し」と称される丈夫な漆器である。日用に便利だとして諸人が愛用している。
心越禅師(しんえつぜんし)はこの器を詩に詠んでいる——「刀鋸剛より出て、方固の器、膠浮く塗束(ぬりたば)は金玉の光。分与して間に通ず、太平の風雨に、太平の風雨に君王を拝す」。漆器の美と強さを讃えた詩である。
「日光の漆器は「堅地にして強し」、丈夫さが売りだったんだね。心越禅師の詩まで詠まれるなんて、よっぽど愛された器だったんだワン!」