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日本山海名物図会 巻二

炭焼・杣人と材木流し

山の恵みを活かす職人たちの技。茶の湯に欠かせない炭を生み出す炭焼き職人、奥山の大木を切り出す杣人(そまびと)、そして急流を自在に操って材木を運ぶ材木流し。命がけの山仕事が、江戸時代の都市生活を支えていた。

炭焼きの図

炭——池田炭が茶の湯の名品となるまで

炭は諸国より多く出るが、その中でも日向国(宮崎県)や紀州(和歌山県)の磨野(まやの)から出るものは質が良い。摂津国(兵庫県・大阪府)池田の奥山より出るものは炭の名物とされている。また、和泉の横山炭は名品として知られ、これは枝炭である。

炭焼き窯(炭竃)はいずれも山中に設け、薪の出し入れに便利な場所に据える。歌には「小野の炭竃」と詠まれており、小野は山城国愛宕郡のことである。

炭窯の穴を「四つめ」という。炭材を窯に入れ込み、燃やして一定の頃合いに蓋をして蒸し焼きにする。この蓋をするタイミングが炭の品質を左右する。窯の入り口の形や大きさも、炭の出来に影響する職人の秘訣である。
杣人の図

杣人(そまびと)——奥山の大木を切り倒す職人

山中で木を切って生計を立てる者を「杣(そま)」という。奥山ではいかなる大木を切り倒すときも、枝など打つことはなく、ただ根元の部分を斧(まさかり)で切り倒す。和歌には「木曽の杣人」を専らよんでいる。木曽は信濃国(長野県)の奥深い大山である。

杣人が入山するときの道標(みちしるべ)としては、小木を切りかけて目印とする。これを「枝折(しおり)」という。和歌にもよまれており、案内人の道しるべのことを指すと『説文』に見えている。

「枝折」は枝を折って道に印をつけること。奥山での道に迷わないための生活の知恵であり、現代でも登山道の目印に通じる。木曽の深山で大木と向き合う杣人の姿は、日本の林業の原点である。
材木流しの図

材木流し——急流を飛びまわる達人の技

山から切り出した木を谷川へ落とし、流れに乗せて運び出す。杣人は「鳶口(とびぐち)」を持ってこれを引き回し、山川の速い瀬をとびまわること、その軽さたるや猿のようである。

高い崖から木を突き落とし、あるいは谷川の滝場(たきつせ)を自由に引き回して、その材木を筏に乗り回す。よく鍛えられた、みごとな技の仕事である。

材木流しは江戸時代の一大産業だった。山で切り出された木は、川を下り、港から船で各地へ運ばれた。建築用材、燃料、道具の材料として、木は都市生活のあらゆる場面で必要とされた。杣人の命がけの技術が、江戸時代の日本の「木の文化」を支えていた。

山の恵みを現代に

炭・木工品——山の職人技が生み出した日本の美

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「谷川の滝を飛び回って材木を操る杣人さん、まるで猿みたいだって書いてあるけど、それだけ山の中で鍛えられた技なんだワン!蓋をするタイミングで炭の質が決まるって、炭焼きもすごい職人技なんだワン!」