大和国御所村の柳の秤は全国に普及した名物。秋の味覚「柿」もまた諸国に名品があり、京の木練柿、美濃の巨大な釣柿、丹波の串柿、山城の宇治ころ柿——それぞれの土地の気候と職人の智恵が生んだ名産を図会は丹念に記録した。
大和国(奈良県)御所村より出る柳の秤(はかり)は名物である。この秤は余国にも広まって多く流通しており、御所より出るものであることから「御所払(ごしょばらい)」と呼ばれている。
また、山城国より出る「木練柿(こねりがき)」は、柿の中でも上品(最高品質)とされる。近江・美濃・甲斐・信濃にも多くある。九州の地では柿の熟するのが上方より早い。渋柿に上品なものがあり、さわし柿にすると甚だよい風味になる。
渋柿を、まだ熟していないうちに取って皮をむき、糸をつけて竿にかけ、日に干したものを「美濃釣柿(みのつるしがき)」という。安芸国西条の「気温坊(きおんぼう)」はその味が優れているというが、美濃の釣柿よりは小さい。
美濃の釣柿は味が良いだけでなく、その形も甚だ大きく、干し上がっても三寸(約9センチ)ほどの長さがある柿がある。生のときの大きさはいかばかりかと思われるほどである。
「干し上がっても9センチもある美濃の釣柿、生のときはどれだけ大きかったんだろうワン!柿渋が防水に使われたり、御所の秤が全国に広まったり、昔の物流ってすごいネットワークだったんだワン!」