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日本山海名物図会 巻二

紺青・緑青の製法と鳥黐

銅山から生まれる天然顔料「紺青(こんじょう)」と「緑青(ろくしょう)」。慶長年間に多田銀銅山(摂津国)で初めて国産化されたこの鮮やかな青と緑は、絵師たちの必需品となった。また、紀州熊野の特産・鳥黐(とりもち)の製法も合わせて紹介する。

紺青・緑青製法の図

紺青・緑青——銅山の「精気」から生まれる天然顔料

紺青と緑青は、銀山や銅山の「精気」から生じるものである。慶長年間に摂津国(現在の兵庫県・大阪府)の多田にある神山(多田銀銅山)から掘り出された。それ以来、諸国でも多く掘り出されるようになった。

それ以前は、中国(唐)から渡来するものばかりで、日本国内で掘り出されることはなかった。ただし、『扶桑略記』によれば、元明天皇の和銅6年(713年)に上野国(群馬県)から紺青を献上した記録があり、古くからわが国に存在したことがわかる。

製法は、山から掘り出した鉱石を臼(うす)で細かく砕き、水で精製して取り出すものである。

緑青の種類と用途

緑青の品質と色——「紺手」と「あさぎ手」

鉱石のうち、白いものは「明ばん(ミョウバン)」となり、青いものは「ろうは(緑礬)」となる。

山から掘り出した石を砕き、小屋の中で水をかけて腐食(酸化)させる。これを釜で炊き、その際に出る泡を干して、蓋に入れて乾燥させる。その中でも質の良いものを「紺手(こんて)」といい、これは丹礬(たんぱん)のような色をしている。次に良いものを「あさぎ手」といい、色は真っ青である。下品(粗悪なもの)は黒ずんでいる。

特に優れた「浅黄のろうは」は、外科の膏薬(こうやく)として用いられる。下品の「ろうは」は染物に用いられ、染汁にこれを入れると黒色が出るが、布地が傷んで弱くなってしまうとも記されている。
鳥黐の製法

鳥黐(とりもち)——紀州熊野の家業

「細葉冬青(そよご)」という木の皮を剥ぎ、その汁を池の水に漬けておく。長期間漬けておいたものを取り出し、湯で煮て「鳥黐(とりもち)」とする。この製法については『本草必読』にも記されている。

紀州(和歌山県)の熊野山にはこの木が多く、地元の人は鳥黐を製造することを家業としている。この木は葉が細くて青く、その実は赤くて南天の実によく似ている。木立の姿が美しいので、生け垣にしても見事である。

鳥黐は鳥を捕まえるための粘着剤。枝に塗り付けておくと、止まった小鳥が足を取られる。今では狩猟用途は制限されているが、江戸時代には家業として成り立つほど需要があった。

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「銅山の精気から美しい青や緑の顔料が生まれるなんて、鉱山って色んな宝物の源なんだワン!鳥黐って木の皮から作るんだね、自然の中に色んな材料があるんだワン。昔の職人さんの発見力、すごいワン!」