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日本山海名物図会 巻一

金山・銅山の採掘と職人技

聖武天皇の御代、天平21年(749年)に陸奥国(東北地方)で初めて黄金が発見されてより、日本の金山・銀山・銅山は国の礎となってきた。坑内に灯をかかげ、命がけで掘り進む「下財(げざい)」と呼ばれる鉱夫たちの仕事ぶり、精緻な道具の数々を、絵師・長谷川光信が詳細に記録した。

金山鋪口の図

金山の始まりと「舗口(しきぐち)」

金山の入り口を「舗口(しきぐち)」ともいう。吉日を選んで山の神を祭り、それから工事に取りかかる。金山で働く人を「下財(げざい)」と呼ぶ。

わが国で金が産出されるようになったのは、第45代・聖武天皇の天平勝宝年間に、初めて陸奥国(東北地方)からなり出たのが始まりである。白銀は第40代・天武天皇の御代に、初めて対馬国(長崎県)から掘り出された。銅や鉄については、神代の昔からあったと伝えられている。

「凡金銀銅鉄通して金山といふ」——金・銀・銅・鉄、これらすべてを総称して「金山」という。
鉱山の勘場(台所)

鉱山の町「勘場(かんば)」の賑わい

銅山など諸国の鉱山では、船を寄せて仮小屋(かりや)を構え、金銀、米銭、薪炭、味噌、塩、油、醤油など、生活に必要な一切の品々を取りそろえて置く。これらを山で働く人々に配分(割賦)するのである。

東国(江戸側)ではこれを「台所」と呼び、西国(上方側)では「勘場(かんば)」という。銅山の運営に必要なものはすべてここから渡されるため、商人も多く集まり、その賑わいはまるで市場のようである。山に入って働く者の妻子は、ここから銭や金を受け取って日々の生計を立てるのである。

銅山の道具と役人

山の役人と専門職人の組織

鉱山内の作業現場(舗の中)で用いる道具は数多くあるが、それらはすべて山の中で作られる。そのため、鍛冶屋を建てて専門の職人を雇い、新しい道具を作るだけでなく、傷んだり壊れたりしたものを修理・仕立て直したりもする。

また、山の役人も大勢いる。「舗役人(しきやくにん)」「鹿家(かせ)」「手子(てこ)」「山留役人(やまどめやくにん)」「焼出(やきだし)」「釣持(つりもち)」などがいる。さらに「一釜大工(ひとかまだいく)」「素吹大工(すぶきだいく)」「間吹大工(まぶきだいく)」といった専門の職能集団も組織されている。

坑道の構造と排水

坑道の構造と「四つどめ」の工法

掘り進むことを「舗出(しきだし)」という。四本の柱を立てて、上と左右の三方に梁(はり)を入れるが、この梁を「矢」という。三方それぞれに使う矢の数は十六本ずつである。上の矢を支える木を「化粧木(けしょうぎ)」という。この入り口を「四つどめ」と呼ぶ。

入り口の脇には「臥廻し口(ふしまわしぐち)」を作るが、これは「息出し(いきだし)=換気口」であり、ここから坑内の明かりを取り入れる。「大切口(おおぎりぐち)」は「水抜き(排水溝)」として機能する。

江戸時代の坑道技術は、木材による支保工や換気・排水システムを備えた高度なものだった。一見すると単純な掘削作業に見えるが、崩落防止・換気・排水が一体となった精密な土木技術が集積していた。
坑内の労働

「鋲燈(びょうそ)」の灯だけが頼りの坑内作業

下財(労働者)たちは皆、頭を布で包み、腰に「円付(まるつけ)」をつけ、サザエの殻に油を入れた「鋲燈(びょうそ)」に火を灯して持ち歩く。この火が唯一の明かりである。風通しが悪くなれば、この火もすぐに消えてしまう。

また、水が湧き出した時は「戸樋(とひ)」で水を吸い上げ、「大切口」へと流し落とす。金や銀の石を掘り当てれば、「ゑふ(負子)」が背負って運び出す。硬い岩盤(石目)がある場所は、「げんのう」で打ち外して進むのである。

鉱石の粉砕と運搬

鉱石の粉砕と「女性の仕事」

掘り出した鉱石(泊石/とまりいし)を外へ持ち出し、細かく打ち砕く。この鉱石を砕く作業は、多くの場合、女性たちが担当する習わしである。

鉱石を入れて背負う器を「ゑぶ(負子)」という。金や銀の混じった鉱石を「泊(とまり)」というが、これも正しい漢字は未詳である。字彙(漢字辞典)には、「鉱(あらがね)」とは金・銀・銅・鉄を含む石のことであり、その道理であると記されている。

「鉱(あらがね)とは金・銀・銅・鉄を含む石のこと」——砕かれた鉱石から、砂金のように細かい粒が光を放つ。かつては「とじ金」という黄金の塊が見つかることもあったが、今は稀である。

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

「サザエの殻に油を入れた灯をたよりに真っ暗な坑内を歩くなんて、想像するだけでドキドキするワン!昔の人はこんなに大変な思いをして金を掘り出していたんだワン。その金があって今の日本があるんだね、ほえ〜!」