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日本山海名産図会 巻四 (9)

章魚:壺漁の知恵と滑川の大蛸伝説

諸国で獲れる章魚(たこ)。播州明石の壺漁、伊予長浜の独特な仕掛け「スイチヤウ」、そして越中富山滑川に伝わる、船を転覆させるほどの大蛸伝説まで、地域ごとに異なる漁法と物語を紹介する。

豫州長濱章魚釣の図

播州明石の壺漁と伊予長浜の「スイチヤウ」

章魚は諸州にいるが、なかでも播州明石に多い。磁器の壺を二、三個ずつ縄でつなぎ、水中に投げ入れて自然に入るのを待つ。この壺は「鮹壺(たこつぼ)」と呼ばれ、市中では茶瓶にも転用された。蛸は壺に付くと引き出しにくいが、壺の底を物で叩くと自ら出て速やかに壺を放れるという。

伊予長浜ではこの魚が非常に多いため「張蛸」として市に出す。「スイチヤウ」という道具(四寸×六寸ほどの小板の端に釣針を二つ付け、蟹の甲羅を外して足だけ残し、石を添えて括ったもの)を、長さ四、五十尋の麻糸に付けて水中に投げる。蛸は蟹の肉を食おうとして板の上に乗るので、これを手ごたえとして引き上げる。岸近くで驚いて逃げようとする瞬間に針にかかる仕組みで、一人で五、六百、一艘では千から二千にも及んだという。

泉州でも同じ方法で小鯔(このしろ)を採り、烏賊や蕎麦の花を餌にする。長州赤間関では、舟の艫先で火を焚くと蛸が下に集まり頭を上げて踊るので、それを手で掴む。手が届かない場合は打ち縊る道具を使う。

越中滑川之大鮹の図

越中富山滑川の大蛸:命懸けの一撃

普通の章魚は大きさ一、二尺ほどだが、北国のものは特に大きく、八、九尺から一、二丈にも達し、人を巻き取って食うとまでいわれた。足の疣(いぼ)が人の肌に触れると血を吸い、たちまち急死させるほどで、犬・鼠・猿・馬も捕らえるという。夜には水岸に出て腹を反らせ頭を上げ、八本の足で走って田畑の芋を掘って食うこともあった。

越中富山の滑川(なめりかわ)産の大蛸は、牛馬を捕食し、漁船を転覆させて人まで襲うほどだった。漁師はこれを捕える術がなく、やむなく船の中で寝たふりをして待ち、蛸が手を船の上にかけてきた瞬間、素早く刀でその足を切り落として急いで漕ぎ帰る。生死一瞬にかかる、まさに命懸けの漁である。

足一本で地に余る大きさ
大蛸の足一本を店先の軒下に掛けると、長く垂れ下がって地に余るほど巨大だったという。また、この疣一つを食べれば一日分の食料になるほど栄養があったとも記される。蛸の卵は岩に産み付けられ「梅花皮(ばいかひ)」と呼ばれ、塩辛にすると「海藤花」という。

富山湾の恵み、地タコを味わう

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ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

蟹の甲羅を使った「スイチヤウ」って、蛸の習性を利用したすごい仕掛けだワン!滑川の大蛸伝説は迫力満点だけど、漁師さんの命懸けの勇気にも胸が熱くなるワン。