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日本山海名産図会 巻四 (7)

鱒:神通川の名品と元日貢進の腹赤

海鱒・川鱒の二種があるうち、川の物が味に優れるという鱒(ます)。なかでも越中神通川(じんづうがわ)の鱒は名品とされ、そのまま献上品として納められてきた。古名「腹赤(はらあか)」は、正月元日の宮中行事にまで名を残す。

越中神通川之鱒の図

越中神通川の鱒:乗川網による二艘漁

海鱒・川鱒の二種があり、川の物が味に優れる。越中・越後・飛騨・奥州・常陸など諸国から産するが、なかでも越中神通川の物が名品とされ、鑑(貢ぎ物)としてそのまま納められてきた。形は鮭に似て住む場所も同じ。鱗は細かく赤い筋が体を貫き、肉には赤い刺が多い。

漁法は「乗川網(のりかわあみ)」という、横七〜八尺・長さ五尋の袋網を用いる。上には浮き(アバ)、下には石の重り(イワ)を付け、その間をわずか四寸ほど開けて網の口を開く。長い竹を網の両端に付け、二人ずつ乗った「スクリ船」という小舟二艘で網を挟み、魚が入るのを待って手早く引き上げ、両方から絞り寄せる。一度に一尾、あるいは二三尾を得る。魚は流れに向かって泳ぐため、舟子は舟を逆に押して支える。

古名「腹赤」と元日の宮中行事
鱒の古名は「腹赤」といい、年中行事に「腹赤の御贄(みにえ)」を天皇へ奏上する記録がある。歌に「初春の千代の例の長浜に釣れる腹赤も我君のため」とあり、毎年正月元日に貢進し、遅れた場合は七日に貢進した。日本紀の景行天皇十八年、玉杵名(たまきな)の邑(むら)より海人が献上した故事に由来するとされ、今も絶えず貢がれているという。長浜はその郡の名でもある。
ほえまる
ほえまるの「ほえ〜!」コメント

鱒に「腹赤」という古名があって、正月に天皇へ献上する行事にまでなってたなんてビックリだワン!二艘の舟で網を挟んで引き上げる漁法も、息の合ったチームプレーが必要そうだワン。