春の到来を告げる透き通った白魚(しらうお)。摂津西宮の入江で行われた精巧な「振り漁」は、著者によれば奈良時代の宇治川の網代木漁を継ぐものだという。万葉集にも詠まれた古代漁法が、江戸時代の西宮に息づいていた。
摂津国(兵庫)西宮の入江では、春二〜三月ごろ、川岸に沿って五か所ほど藁小屋を両岸に交互に建て並べ、精巧な「振り漁(ふりりょう)」が行われる。
川岸から一〜二間(約1.8〜3.6m)突き出た網(振)を張り、潮の満ち引きを利用して魚を誘い込む。柱の頭に穴を開けて小車(滑車)を取り付け、網を引き上げやすくして、蚊帳の布を使った四手網(よつであみ)で掬い取る仕組み。
これは奈良時代の「宇治川の網代木(あじろぎ)」の漁法を継承したものだと著者は指摘しており、万葉集にも詠まれた古代からの漁業文化の流れが、江戸時代の西宮に息づいていたことがわかる。
備前・伊勢桑名等の白魚は立網または前がきで採る。桑名の立網は長さ七丈、下垂三丈ほどで、五艘の船が沖から網を入れて礒へ漕ぎ寄せる。一網で獲る量は概ね二石ほどにもなり、升で量るほどの豊漁だった。
西宮の白魚漁の仕掛けって、滑車と網を組み合わせた精密機械みたいだワン!古代の宇治川から江戸の西宮まで、同じ発想の漁法が続いていたなんて、日本の漁師さんたちは本当に賢かったんだワン!